純アナログ・3way・ステレオバランス・チャンネルデバイダ―
純アナログの豊潤な音質と、デジタル式チャンデバの利便性を両立

Mitchell概要

M2TECH Mitchellは、純アナログ回路ながら自由自在なパラメーター設定を可能にした3wayチャンネルデバイダ―です。帯域ごとのバランス式フィルター・モジュールはオールパス・フィルター、6dB, 12dB/Octの周波数に制限のないローパス・ハイパスフィルター、ノッチ・フィルターで構成されます。このフィルター・モジュールは、プログラマブルとなっており、PCから自由に構成を変更、さらにはカスケードすることもできます。純アナログの豊潤な音質と、デジタル式チャンデバの容易かつ多様な設定変更を兼ね備えた、今までにないチャンネルデバイダ―と言えましょう。

MitchellはM2TECHがメインストリームに位置付けるRockstarsシリーズに属しており、同Rockstarsシリーズの機器と組み合わせるのに好適です。また、RockstarsシリーズはM2TECHが持つ大胆な発想と精密な技術力が惜しみなく注力されており、他ハイエンド機種と組み合わせるに値する抜群の性能を誇ります。

主な特徴は以下の通りです。

  • 3way・ステレオ・チャンネルデバイダ―
  • シングルエンド(RCA)、バランス(XLR)入出力搭載
    ※バランス出力はXLR7pinを搭載しており、一般的なXLR3pinへの変換アダプターが付属します
  • PC(Windows)から専用ソフト「Mitchell Configurator」を用いて、即座に設定変更・反映が可能
  • Mitchell Configuratorには各パラメーターの設定を補うアシスト機能搭載
  • 各帯域に以下バランス式・モジュールを独立搭載
    • オールパス・フィルター
    • 6dB/Octの周波数に制限のないローパス・フィルター
    • 6dB/Octの周波数に制限のないハイパス・フィルター
    • 12dB/Octの周波数に制限のないローパス・ハイパス・ノッチフィルター x 2
    • 位相反転
    • ゲイン
  • 各モジュールは独立して設定が可能で、デジタル方式とほぼ同じ操作性を実現
  • 各帯域をカスケード設定することで、アドオンユニット(サブウーファーやツィーター)から、2way、3wayまで柔軟に対応。また、Mitchellを2台組み合わせることで、4way、5wayにも対応。

Mitchellは純アナログ・3ウェイ・ステレオバランス・チャンネルデバイダ―です。その目的は、プリアンプからの信号を周波数の異なる3つの信号に分離することです。こうすることによって、スピーカー・システムのパッシブ・ネットワークを使わずに、各ユニットを専用のパワーアンプで駆動することが可能になるのです。この技術は、チャンネルデバイダ―・マルチアンプシステムとも呼ばれています。

チャンネルデバイダ―・マルチアンプシステムの利点は様々ですが、その効果は軽微なものでありません。

  • インダクターやコンデンサーなどのパッシブ素子によるリニアリティーの欠損を排除
  • サウンドの明晰性と透明性が向上
  • 過渡特性の精度が向上
  • サウンドステージの再現性が著しく向上
  • ダイナミックレンジの拡大
  • 各パワーアンプへの負荷が軽減(=各ユニット・各パワーアンプが本来の音を発揮)

言うまでもありませんが、これにはコストがかかります。通常のシステムよりも多くのパワーアンプが必要になるからです。最低でも、各帯域にステレオ・パワーアンプが1台、そしてチャンネルデバイダ―が必要になります。

言うまでもありませんが、これにはコストがかかります。通常のシステムよりも多くのパワーアンプが必要になるからです。最低でも、各帯域にステレオ・パワーアンプが1台、そしてチャンネルデバイダ―が必要になります。

デジタル・チャンネルデバイダ―は、デジタル方式によりスロープをきわめて精確に形成することができるので、通常は高い利便性を持っていますが、処理するために入力信号をアナログからデジタルに変換する必要があります。出力するためには、処理されたデジタル信号をアナログに戻す必要があります。したがって複数のAD/DA変換、デジタルでの急峻な帯域分割処理(大抵の場合、LP-EQカーブの数倍~数十倍)が入力信号に影響を与えることになります。ひいては、チャンネルデバイダ―・マルチアンプシステムに期待するパッシブ・ネットワークを上回る高品質なアナログ・コンポーネンツというよりも、帯域分割のためのAD/DAコンバーターのようになってしまい、これは多くの場合望ましくありません。

この問題を部分的に避けるには、デジタル・チャンネルデバイダ―をデジタル入力で動作させます。これによって入力時のアナログからデジタルへ変換をスキップすることができるので、変換によるノイズを低減することができます。しかし、デジタル・チャンネルデバイダ―のデジタル入力には限界があります。対応できるサンプル・レートは、最大96kHzまたは192kHzであることがほとんどであり、またDSDはデジタル・チャンネルデバイダ―ではネイティブに処理することができないので、対応することができません。その結果、システムで聞くことができる音楽が制限されるか、あるいは再生ソフトでリアルタイム変換が必要になりますが、これではアナログからデジタルへ変換の場合と同様のノイズ、あるいは更なる制約が生じてしまいます。

こういった理由から、デジタル・チャンネルデバイダ―は、ハイエンドのシステムでは避けるべきであるということになります。何より、デジタルとアナログの音源を両方使用している時にはそうです。解決策は、アナログ・チャンネルデバイダ―を使うことです。ところが、市場に出回っているアナログ・チャンネルデバイダ―の大半は、あらゆる機能性が乏しく、ハイエンドのシステムに求められる要件に適切に対応できるほど多機能ではないのが問題となるでしょう。何より、各帯域が使うことのできるフィルターの種類が決まっており(ローパス、バンドパス、ハイパス)、クロスオーバー周波数が隣り合った帯域と常に同じなのです(たとえば、ローパス・フィルターのカットオフ周波数は、通常はバンドパス・フィルターの低域側カットオフ周波数と同じなのです)。これによって、通常のスピーカーで、チャンネルデバイダ―を使うのがむずかしくなってしまいます。例えば、2.5wayスピーカーでは、ひとつのドライバーが低域だけを担当し、もうひとつのドライバーが中域までを担当し、ツイーターが高域を担当しますが、このシステムでは、チャンネルデバイダ―は異なる周波数での2つのローパス・フィルターとハイパス・フィルターを実現しなければなりません。これは一般的な3wayチャンネルデバイダ―では不可能です。

Mitchellは、6つのフィルター・モジュールを各帯域に装備することで、この問題をエレガントに解決しています。

各帯域は以下のフィルター・モジュールで構成されており、それらのモジュールはほぼ無制限に設定できるので、デジタル式に匹敵するフィルターのバリエーションを生み出すことができます。

  • オールパスフィルタ – 位相と群遅延制御に役立ちます
  • 6dB/Octの周波数に制限のないローパス・フィルター
  • 6dB/Octの周波数に制限のないハイパス・フィルター
  • 12dB/Octの周波数に制限のないローパス・ハイパス・ノッチフィルター x 2
  • 位相反転
  • ゲイン

Mitchellの設定は、PC(Windows)専用ソフト「Mitchell Configurator」で行います。Mitchell Configuratorは、チャンネルデバイダ―の熟練者はもちろんのこと、初心者でも簡単に扱えるよう各パラメーター設定を補うアシスト機能を備えています。

Mitchell Configuratorは以下セクションに分かれています。

  • フィルタータイプ設定
  • ノッチ・フィルターの有効/無効
  • オールパス・フィルターの有効/無効
  • 位相反転の有無
  • フィルタータイプに応じた極周波数・Qの設定
  • 主要なフィルター設計に応じた自動入力
  • ゲイン設定

フィルター設計の熟練者は、極周波数とQを数値入力できると聞けば心躍ることでしょう。もちろん、初心者のためにバターワース、ベッセル、チェビチェフといった主要なフィルター設計に応じた自動入力機能も備えています。また、周波数応答のプロット機能があるため、今どのようなフィルターを設定しているか、視覚的に分かるようになっています。

フィルタータイプは、極めて多岐にわたります。Mitchellを3Wayチャンネルデバイダ―として使用した場合は、以下の通りです。

6dB/Oct ローパス

12dB/Octローパス

18dB/Octローパス

24dB/Octローパス

30dB/Octローパス

6dB/Oct ハイパス

12dB/Octハイパス

18dB/Octハイパス

24dB/Octハイパス

30dB/Octハイパス

シェルビング※

12dB/Octシェルビング&ローパス

24dB/Octシェルビング&ローパス

12dB/Octシェルビング&ハイパス

24dB/Octシェルビング&ハイパス

12-12dB/Octシェルビング&バンドパス

6-6dB/Octバンドパス

6-12dB/Octバンドパス

6-18dB/Octバンドパス

6-24dB/Octバンドパス

6-30dB/Octバンドパス

12-6dB/Octバンドパス

12-12dB/Octバンドパス

12-18dB/Octバンドパス

18-6dB/Octバンドパス

18-12dB/Octバンドパス

18-18dB/Octバンドパス

24-6dB/Octバンドパス

30-6dB/Octバンドパス

18-18dB/Octバンドパス

24-6dB/Octバンドパス

30-6dB/Octバンドパス

フラット※

※シェルビングは、ノッチよりも緩やかに減衰させたい場合や、特定のスロープ設定によって中心周波数にピーク・ディップが出る場合に使用します

※フラットは、アドオンサブウーファー、ツィーターの場合や、複数台のMitchellを組み合わせて使用する場合に使用します

Mitchellを2way、1wayとして使用した場合には、各帯域のフィルター・モジュールをカスケードすることができるので、さらに多くのフィルタータイプが選択できます。例えば、78dB/Octのローパス、ハイパス・フィルターや、42-42dB/Octのバンドパス・フィルターも純アナログ領域で処理可能です。

Mitchellは、純アナログ式の豊潤な音質とデジタル式の自由なパラメーター設定をあわせ持つ次世代型チャンネルデバイダーなのです。M2TECHはこの2022年、チャンネルデバイダー・マルチアンプシステムに革命を起こします。

仕様

入力

RCAペア、XLRペア

出力

RCAx3ペア、7ピンXLRペア(XLRx3ペアアダプター付属)

カットオフ周波数

50-15,000Hz(各帯域制限なし)

スロープ

ローパス・ハイパスフィルター:6-30dB/Oct

バンドパス・フィルター:6-6dB~18-18dB/Oct、 6-30dB/Oct~30-6dB/Oct

S/N比

100dB(A)~110dB(A)※フィルター設定に応じます

THD+N

0.015%

最大出力

9Vrms(RCA)、18Vrms(XLR)

入力インピーダンス

47kOhm(RCA)、20kOhm(XLR)

電源

15V/0.8A(ACアダプター付属)

サイズ

220x220x50mm

重量

2kg

保証期間

12ヶ月

標準的な小売価格

715,000円(税込)

JANコード

4589631464864

※上記仕様は予告なく変更する場合がございます

ダウンロード

日本語マニュアル:

Mitchell Configurator 1.0.0:

レビュー&ニュース

約10年振りに新たなチャンデバとアンプを試してみた! | 田中伊佐資の“やっぱオーディオ無茶おもろい” 第42回

2022年9月8日

第42回は、田中伊佐資さんのステレオシステムに切り込みます。 M2TECHのチャンデバMitchellとパワーアンプのLarson、Crosbyはどうだったのでしょう。